ダークプールについて解説してきました。 外部には見えないところで取引する方法 があることを、覚えておいていただければと思います。
ダークプールを解説。個人投資家は使うべきか?
ダークプールは機関投資家やヘッジファンドがよく使ってきたと解説しましたが、最近では 個人投資家向けにも整備されてきています 。個人投資家がダークプールを使うメリット・デメリットを考えていきましょう。
1. 時間外でも取引できる
2. 取引手数料が低い
3. 細かい刻みで約定できる
時間外でも取引できる
ダークプールは いつでも取引ができる ので、証券取引所が開いている時間に売買ができないトレーダーにも使えます。
東京証券取引所の場合、 平日の9時から11時半、12時半から15時まで が取引できる時間です。サラリーマンの方など、この時間は仕事が忙しくて株の取引なんてできない、と言う方も多いですよね。
取引手数料が低い
細かい刻みで約定できる
証券取引所での取引は、 ダークプールの定義 基本的には1円単位 です。一方、 ダークプールの取引では0.1円単位に設定している証券会社もあります 。より細かく約定価格を設定できるので、自分に有利な価格で取引できる可能性が高くなります。
個人投資家がダークプールを使うデメリット
メリットがある反面、個人投資家がダークプールを使う場合はデメリットもあります。主なデメリットを3つ解説していきましょう。
1. 利用するための条件が厳しい ダークプールの定義
2. 成功報酬がかかる場合がある
3. 参加者が少なく約定しにくい
利用するための条件が厳しい
とはいえ、最近は条件が緩和されてきているので、誰でも使えるサービスになりつつあります。例えば、SBI証券でダークプールを活用できるサービス「SBBO-X」(SBI Best Bid Offer)を利用する場合の条件は、2019年4月末に変更され、かなり緩くなりました。
【変更前】
以下のどちらかを満たすこと。
・月末時点の預り資産が1,000万円以上
・月末時点の預り資産が500万円以上で、月末を含む月内に現物株式の取引が1回以上ある
成功報酬がかかる場合がある
手数料が安くなるのがダークプールのメリットだと解説しましたが、 成功報酬がかかって手数料が高くなる ケースもあります。
それでも、 結果的に証券取引所での売買よりも高くなる、という本末転倒なことは基本的には起こらないです 。ただし、成功報酬がかかることもあると理解はしておきましょう。
参加者が少なく約定しにくい
個人投資家はダークプールを使うべきか?
ダークプールが向いている人
ダークプールが向いているのは、 長期投資を前提として、決めた価格で購入したいケースです 。銘柄分析などを通じて最適な理論株価を導いたら、その価格で注文を入れておきましょう。
ダークプールが向いていない人
株初心者〜中級者のうちは通常の取引方法で
ダークプールについて解説してきました。 外部には見えないところで取引する方法 があることを、覚えておいていただければと思います。
株式投資の世界には、さまざまな証券用語が存在します。難しそう…と構えることなく、どんどん覚えて知識を増やしましょう。 初心者向けのセミナー に参加すると、理解が深まるのでおすすめです。人気トレーダーの解説YouTubeなども、用語を把握していた方がよく理解できて楽しめますよ。
急速に取引シェアを伸ばしている「ダークプール」とはなにか
出版社 朝日新聞 小口の注文を数多く発注する超高速取引(HFT)の台頭で、注文情報が開示される証券市場では、大口の注文は取引が成立しにくく価格面で不利になった。そこで、代替市場の「ダークプール」に逃げる大口の投資家が増えた。米国での取引シェアは十数%に達する。ダークプールでは、「気配」と呼ばれる注文情報を開示しなくて済み、匿名性がある。だから「ダーク(暗い)プール」と呼ばれる――。情報技術の発達で激変するトレーディングの世界。その最先端の動きを生々しく伝えるレポート。
フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち
出版社 文藝春秋 二〇〇七年のある日、ウォールストリートの二軍カナダロイヤル銀行のブラッド・カツヤマは、さっきまで画面にあった売り注文が、買いのボタンを押すと、蜃気楼のように消えてしまうことに気がついた。その謎をとこうとパズルのピースをあわせて見えてきたのは、コンピュータ化された市場で常態化した巨大な八百長、ミリ秒、マイクロ秒、そしてナノ秒のしのぎを削って私たちを先回りするフラッシュ・ボーイズの姿だった。唖然、呆然、これでは一般投資家は絶対に勝てない。(「BOOK」データベースより)
ウォール街のアルゴリズム戦争
出版社 朝日新聞 人工知能のマシン・トレーダーはバフェットを超えた?マイクロ秒で勝負が決まる高頻度高速株取引の最前線をウォールストリート・ジャーナル記者が描く金融ノンフィクション。(「BOOK」データベースより)
ネット証券初!東証、PTS市場、ダークプールの自動回送SORシステムを実装
~SORシステムを2018年8月27日(予定)より提供開始~
2018年6月29日
当該システムは、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社が運営するダークプール(以下「MSプール」) ※1 への注文取次に対応する予定であり、機関投資家向けのものと同等の機能を有するシステムとなります。
「3市場+ダークプール」を自動回送するSOR機能
当社はモルガン・スタンレーの技術提供により、先進的なSORを搭載する株式執行システムを導入いたします。当社のSORは東京証券取引所、PTS2市場(チャイエックス・ジャパンPTSおよびジャパンネクストPTS)、MSプールへの注文取次に対応 ※2 し、「3市場+ダークプール」を自動回送するSOR機能を有します。
他ネット証券のSORはダークプールに発注する際、取引所気配のみを基準としますが3市場の気配の最良価格を基準とするのは、当社SORが国内ネット証券初 ダークプールの定義 ※3 となります。
SORをご活用いただいた場合、東証立会時間内において、東証とPTS市場気配の中で最良気配を検知し、当該気配を指値としてMSプールにIOC注文を行います。 | ► | MSプールでモルガン・スタンレーの顧客等との注文と対当した場合 その価格で東証立会外取引(ToSTNeT)にて業者間クロスを実行。 |
► | MSプールで対当する注文がない場合 東証とPTS市場のそれぞれの最良気配で自動的に株数を配分して発注。 |
- ※1 ダークプールとは証券会社が顧客または証券会社の自己取引の売買注文をシステムで付け合せ、対当する注文があれば東京証券取引所の取引所立会外市場(ToSTNeT市場)に発注を行い約定させるシステムです。その付け合せを行うシステムの内部における気配情報が外部に対して非公表な事から「ダークプール」と一般的に呼びます。
- ※2 MSプールおよびPTS市場への発注はSORを経由して行います。SORを利用する場合、MSプールおよび2つのPTS市場のうち一部のみを指定して注文することはできません。
- ※3 SOR特徴および他社比較等は専用ページ「SOR(スマート・オーダー・ルーティング)注文」をご覧下さい。
国内ネット証券初の機能を実装
東証より有利な売気配(PTS①にて2,000株100.3円が発生)を検知し、SOR判定 | ► | 東証で待機している10,000株のうち、2,000株をキャンセルしPTS①に100.3円 2,000株で発注。 |
透明性の確保
価格改善効果の開示
約定価格の第三者評価レポートの開示
AI(人工知能)「SOR-AIアドバイザー」の導入
SORをご活用いただくために、AI(株式会社日立製作所Hitachi AI Technology/Hを採用)にSORの基本ロジックを学習させ、マーケットデータ等の統計分析および学習をさせることで、より約定価格や約定率の改善が見込まれる「取引時間」、「取引数量」、「執行条件」等のアドバイスレポートの提供を予定しています。(※現在実証実験を開始しています)
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